ゴー!医見

つばさクリニックでは毎月院内広報誌「ゴー!つばさ」内の院長のエッセイです

昨年3月、ゾフルーザという新しい抗インフルエンザ薬が発売されました。1回だけの内服で済み、効き目も強い、ということで、今や抗インフルエンザ薬の中では NO.1 の売上を記録するようになりました。マスコミの影響もあって「ゾフルーザを処方してください」という患者さんも少なくありません。でも、それだけの理由で安易に使っていいのでしょうか?

耐性菌

耐性菌というのは薬に耐えることができる、つまり薬が効かない菌のことです。細菌をやっつける抗生物質でも常に耐性菌が問題にされています。抗インフルエンザ薬であるタミフルも耐性菌が問題になっています。ゾフルーザにも耐性菌が確認されています。

「ここ一番」でこその決め球

インフルエンザはたいていは重症化することはなく、数日間で治癒します。しかし、小さなお子さんや高齢者、免疫力が低下した人の場合は死に至ることがあります。ゾフルーザは従来の薬とは作用機序が異なり、抗ウィルス作用が強いと言われており、死亡リスクの高い重症例に対してより有効ではないかと考えられています。しかし、現在のように片っ端から使用してしまうと、今以上に耐性菌が増え、その有効性が半減してしまう可能性があるのです。
元中日ドラゴンズの岩瀬投手の最大の武器は大きく曲がるスライダーでした。勝負所で投げるこのボールに数々の強打者達が痛い目に遭いました。でも、もし岩瀬投手がスライダーばかりを投げていたら、打者は目が慣れて打ち返していたでしょう。すなわち耐性ができてしまうのです。決め球は「ここ一番」で使ってこそ、決め球になるのです。ゾフルーザも対象患者を選んでもっと慎重に使用するべきではないでしょうか。

当院の方針

当院ではゾフルーザの処方は数例しかありません。だから、もしかしたら「あんなに話題になっている薬を使わないなんて、つばさクリニックは遅れている」という評判が立っているかもしれませんね。(笑)
ゾフルーザを使ったのは、タミフルを5日間飲み続けることが困難と思われ、かといって、吸入薬を使うのはもっと無理そう、という 90 代の男性と、当院にかかるのは初めてで、とても弱そうで、いかにも肺炎になりそうな 90 代女性。あとはセンター試験を数日後に控えた受験生。特別なルールを決めているわけではありませんが、極力対象を絞って使うようにしています。
患者さんの症状を楽にしてあげることはもちろん大切なことです。しかし、将来に禍根を残すようなことが危惧されるのであれば、そこは心を鬼にして我慢しなければいけません。
早く治すことよりも、安全に治すことを優先したいと思います。

つばさクリニック院長 石川 亨


「ゴー!医見:2019年2月 ゾフルーザは夢の新薬か?」をダウンロードする


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