2018年10月 健診結果の見方
住民健診が終わりました。これでやれやれ、と思っている人もいるようですが、健診の前だけ節制すればいい、というものではありません。健診結果を踏まえて、今後どのようなことに注意すればよいのか、について説明します。
血糖値
血糖値は食事や運動によって変動します。空腹時は低く、食後1時間から2時間の間が一番高くなります。糖尿病ではない人は、空腹時は80前後、食後でも140を超えることは稀です。糖尿病の人は個人差が大きいですが、空腹時から 120を超えることが多く、食後は300以上になる場合もあります。超重症の場合、600を超えることもあります。
ヘモグロビンA1c
糖尿病の重症度を示す検査です。過去1ヶ月から1ヶ月半くらいの血糖値の推移を反映する検査ですので、空腹時でも食後でも変わりません。したがって、1週間くらい節制したくらいではいい結果が出ませんので、ある意味患者さん泣かせ?の検査です。
ヘモグロビンA1c に30を足して、糖尿病的体温として考えると重症度がよくわかります。たとえば5.5なら35.5度で全く問題ありませんが8.5だと38.5度、ちょっとヤバイですよね。中には14なんていう人もありますが、これだと体温 44度、命にかかわる状態です。
糖尿病予備群
放っておくと将来糖尿病になってしまう状態のことを糖尿病予備群と言います。隠れ糖尿病も同じ意味です。予備軍の人は空腹時血糖、ヘモグロビンA1c、ともに正常ですが、食後血糖は200を超えています。食後1時間くらいで採血すると「予備軍」であることが発見できますが、空腹時で採血をすると発見できません。異常値が隠れてしまう、まさに隠れ糖尿病です。
しっかり食事をした状態で採血した方が早期発見しやすいのです。
コレステロール
コレステロールには色々と種類があります。かつては全部のコレステロールを足した数値である総コレステロールのみで評価していましたが、10年くらい前から悪玉と言われるLDLコレステロール、善玉と言われるHDLコレステロールに分けて評価するようになりました。総コレステロールが多くても悪玉コレステロールが増えていなければ大丈夫、ということになりました。つまりコレステロールの中身が大切、ということです。
ただし、最近はコレステロールはそんなに悪さをしていないのではないか?という考え方が強くなってきました。私も糖尿病や高血圧、肥満、喫煙というリスクを伴っていなければ、それほど気にしなくていいと思います。
肥満
何よりも怖いのが肥満です。高血圧症の一番の原因は肥満なのです。糖尿病、高脂血症よりも何よりも一番怖いのが肥満です。そして、肥満があると間違いなく膝が壊れてしまいます。太りすぎで膝を壊してしまって歩けなくなった人が後を絶ちません。
肥満の予防、それは糖分と炭水化物制限、それしかありません。それと最低週に1回は体重を量ることです。もっと大切なのはつばさクリニックに熱心に通って私のありがたい話に耳を傾けることです(笑)。
つばさクリニック院長 石川 亨
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