2023年12月 過剰医療その2
自分たちは贅沢三昧、インチキ三昧のくせに国民には苦難の波状攻撃を仕掛ける岸田政権。今度は医療費をやり玉に挙げてきました。
開業医は儲け過ぎ?
財務省の調査によると、開業医は昨年、平均8.8%ほどの利益率だったとのことです。一般中小企業の3.4%に比べると「異様な」高さだそうです。確かに、年収1億以上で高級車を数台所有、クルーザーも保有なんていう超富裕医師がいることは事実ですが、それはほんの一握りです。
感染の恐怖に耐えながら頑張って診療した結果、利益率も高くなったのに、「儲け過ぎだからけしからん」と言って診療報酬を下げる、と言うのです。そんなことになったら岸田首相が念仏のように唱える「賃金上昇」なんてできません。医療費を削りたいのであれば、他に削るべきものは山ほどあります。
過剰な検査
知人が縦隔腫瘍と診断されました。縦郭というのは左右の肺の間の部分で大動脈や食道が走っているところです。某市民病院でCT、MRI等ありとあらゆる検査をした後、某大学病院で手術することになりました。そしたら何と、大学病院でもCT、MRⅠ等ありとあらゆる検査をすることになったのです。市民病院から検査データとか画像の入ったディスクを持参したのに、です。これらの検査を一式行えば自己負担だけでも数万円かかります。医療費としてはその3倍以上、下手したら10万円を越えます。その分、それぞれの病院は儲かりますが、国全体ではとんでもない額の無駄な医療費が使われることになります。
過剰な訴訟
11月上旬、介護施設に入所していた90代男性がゼリーを喉に詰まらせて窒息死した事例をめぐる裁判で、「死亡したのは施設職員が男性の誤嚥を防ぐ義務を怠ったことなどが原因」として、介護施設に2365万円の支払いを命じる判決が下りました。とんでもない判決です。介護施設に入所している90代の人であれば、どんなに注意していても誤嚥します。1対1のつきっきりの介助をしていても起こり得ます。訴える遺族もどうかしていますが、こんな判決を下す裁判官が諸悪の根源です。お勉強ばかりしてお友達や家族と触れ合う心を持ち合わせていない生き物でなければ裁判官になれないようです。
こんな判決が続けば、施設側としては少しでも不安があれば入院させざるを得なくなるし、場合によっては口から食べると危険、ということで胃瘻をつける人が増えるかもしれません。延命治療を増長することで、結果的に医療費がかさむことになります。
真摯な対応
これも岸田総理の念仏のひとつです。医療費が高いからと言って一律に診療報酬を下げるのではなく、無駄なものは省く、必要なものは手厚くする、という知性と理性が必要です。
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つばさクリニック院長 石川 亨