2022年6月 令和の天動説
「天文学の父」と呼ばれるガリレオ・ガリレイは当時の標準的な宇宙観であった天動説に異を唱えて、地動説が正しいと主張しました。しかし、キリスト教の教義に背くとして異端審問にかけられ、その結果有罪とされ軟禁生活を余儀なくされました。現在のコロナ禍においても、天動説を信じて疑わなかった人達と同じ思考回路の人が大勢いるように思います。地動説の正しさが知れ渡ってしまうと都合の悪い人達に騙されている人達、と言った方がいいのかもしれません。
今回は令和の時代の今日、世の中に蔓延している天動説まがいの言説をぶった斬ります。
令和の天動説・その1 オミクロン株は恐い
オミクロン株データー（浜松市HPより）
オミクロン株については浜松市が詳細なデ―タをホームページ上で公開しており、毎週金曜日に更新しています。右のグラフは令和4年1月1日から5月26日までに浜松市で陽性が確認された人のうち、ワクチン接種の状況や陽性判明時点の症状が確認できた約3万人についての分析から得られたものです。
4本の棒は左から「未接種・1回接種・2回接種・3回接種 / 青色が無症状・オレンジが軽症・グレーが中等症・黄色が重症者」の割合です。これを見ると、ワクチン接種の有無にかかわらず、重症者はゼロです。高齢者や基礎疾患のある人は重症化する、というのは大嘘です。
令和の天動説・その2 自分のため、周りのためのワクチン接種
これも先ほどのグラフが示す通りです。ワクチンを3回接種しても1度も接種しなくても重症化していません。ワクチン接種で重症化が防げる、と言うのも大嘘です。子供や若者が接種しなくても高齢者が重症化することはありません。ＴⅤのＣＭで「自分のため、周りのためのワクチン接種。命のタスキをつなごう」、と某大学駅伝チームの有名監督が言っていますが、言わせる方も言う方も節操がなさ過ぎます。
令和の天動説・その3 屋外でもマスクが必要
今頃になってようやく、屋外では人との距離が2メートル以上とれる場合はマスクは不要ということになりましたが、まるでオミクロン株が不治の病でウィルスが1滴でも侵入したらこの世の終わりであるかのような言い草です。相当量のウィルスが侵入しなければ感染しないし、オミクロン株はただの風邪です。屋外であれば、ハグやキスをしない限りは1メートル以内で会話しても感染しません。当然ながら、登下校、通勤時に屋外でマスクをする必要はありません。花粉対策等、特別な事情がない限りはマスクをしてはいけません。マスクをしていない人は非国民ではなく世の中を明るくするヒーローです。
稀代の暴挙
最後にとんでもない暴挙を紹介します。内閣府のホームページによれば、令和4年度コロナ対策予備費の8,000 億円のうち2,000億円は3回目接種者割合を反映して算定を行う予定ということです。3回目接種者割合が50％未満の都道府県は基準額のみ、70％以上の都道府県は基準額の1.3倍の交付金が支給されるのです。仮に愛知県の基準額が50億円だとすると、接種率が70％を超えると65億円、15億円も増額されるのです。全国の知事たちがこぞってワクチン接種を勧める謎が解けました。期限切れ間近のワクチンの在庫一掃のために札束で知事たちの頬を叩く、知事たちも喜んで尻尾を振る、何とも醜悪な話です。
皆さんが令和の天動説ではなく、令和の地動説にしたがって行動することを切に願います。
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つばさクリニック院長 石川 亨
