2022年4月 ワクチンは効いているのか？
オミクロン株、しぶといですね。でも、恐るるに足らずです。今年に入ってからの３ヶ月、当院で陽性と診断された人は391人、皆さん軽症で済んでいます。昨年夏は「夫が息苦しがっている」、とか「救急車は来てくれても搬送先の病院が見つからない」という相談を何度か受けました。往診した自宅療養の患者さんも本当に苦しそうでした。
今回はそういったことは皆無です。特別養護老人ホーム高浜安立荘でも12人の人が感染しましたが、大部分の人は軽症のままで治癒しています。1人だけ肺炎を併発して今も入院している人がいますが、このようなケースはインフルエンザの時はもっとたくさんありました。
オミクロン株は別の疾患
ハッキリ言います。オミクロン株とデルタ株以前は全く別物です。それなのに、いつまで経っても同じ対応を続けている政府には本当に腹が立ちます。色々と望むことはありますが、最もして欲しいのは感染者の隔離期間の短縮です。いくら何でも10日は長過ぎます。たいていの人は数日で治ってしまいます。検査を受ける時点では治りかけている、と言うケースも少なくありません。それなのに10日も家でじっとしていたら、病気になってしまいます。
年代別感染者数(2022年1〜3月)
上のグラフをご覧ください。月ごとの年代別の感染者数です。ほとんどの年代で２月が最も多かったです。30代が最も多く、次いで40代、20代が多く、60歳以上が一番少なかったです。30代が最も多いのは10歳未満、10歳代のお子さんたちの感染の影響もあると思います。60歳以上が少ないのは、３回目ワクチンの効果？と思いがちですが、１月の時点では３回目を接種した人はほとんどいないのに感染者が少ない事から考えると、あまり関係なさそうです。
ワクチンの効果は？
ワクチン接種時期別感染者数
次のグラフをご覧ください。20歳以上の人のワクチン接種時期別の感染者数です。未接種の人が83人、36％です。全国でワクチンを２回以上打った人は約80%、未接種の人は約20%、２回接種の効果は多少はあるようです。一方で、２回以上接種した人でも148人が感染しています。ワクチン接種後３ヶ月から６ヶ月の間に感染した人が最も多く93人でした。60歳未満で接種後３ヶ月から６ヶ月経過している人数そのものが多いので、この期間が感染しやすい、と言う意味ではありません。いずれにしてもオミクロン株に対してはワクチン２回接種の効果はほとんど認められない、というのが結論です。
３回接種の効果
３回目接種を受けたのに感染した人は9人です。グラフにはありませんが、高浜安立荘では約140人が３回目接種を受けましたが、12人が感染しています。入所の人全員が接種を受けているので、接種していない場合との比較はできませんが、お世辞にも効いているとは思えません。重症化した人がいないから重症化予防効果はあるのではないか？という意見もあるかもしれませんが、安立荘の人だけでなく、当院で診断した患者さんは３回目の接種の有無にかかわらず、重症化した人は１人もいないので、重症化予防効果も怪しいものです。
４回目接種？
政府は早くも４回目接種の準備を進めたいようですが、３回接種どころか２回接種の効果すら検証できていないのにそんなことを考えるというのは、知性のかけらも感じません。更に言えば1500人以上にも及ぶワクチン接種後の死亡例の検証もしようとしない、そんな不誠実な政府の言うことなど信用できるわけがありません。
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つばさクリニック院長 石川 亨
