2022年2月 コロナの実態
オミクロン株が猛威を振るっています。過去最高の感染者数、病床使用率も上昇中、と言うニュースが連日報道されています。しかし、昨年の第5波の時は「息苦しい」「熱が下がらない」等の相談を多数受けましたが、今回は、「2日で楽になった」とか「何ともない」という声の方が多いです。特にお子さんの場合は、「弱めのインフルエンザ」という印象です。勿論、中には重症化する人もいるでしょうが、過度に恐れる必要はないと思います。
ワクチン3回目
当院でも3回目のワクチン接種が始まりました。幸か不幸か、2月26日接種分まではファイザー製ワクチンが確約できますが、その後は不透明です。ファイザー製の供給が大幅に減少する予定で、2月28日以降は当院ではモデルナ中心とせざるを得ません。
ワクチンの効果は?
現行のワクチンはオミクロン株に効くのか?まだ実績がないので不明です。1月4日から31日の間、当院でコロナ陽性と診断したのは108人。その8割くらいはワクチン2回接種済で、昨年10月以降に2回目接種を終えたばかりという人も5人くらいみえます。恐らく、抗体価はまだ十分保たれているものと思われますが、それでもオミクロン株に感染しているのです。
モデルナでも大丈夫?
国は盛んにモデルナワクチンの有用性をアピールしています。表のように、1回目、2回目、3回目ともにファイザーを接種した場合と、3回目だけモデルナを接種した場合の抗体価の上昇を比較しています。一見するとモデルナの方が抗体価の上昇が大きくなっています。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 抗体価 | |
---|---|---|---|---|
ファイザー | ファイザー | ファイザー | ⇒ | 20.0倍 |
ファイザー | ファイザー | モデルナ | ⇒ | 31.7 |
しかし、これには注意が必要です。実は、3回目にモデルナを接種する場合はこのデータを出した場合の半分の量を接種することになっているのです。つまり、使用量の倍の量のデータで「効果がある!」と宣伝しているのです。完全に誇大広告です。
検査キット
皆さんもご存知の通り、検査キット不足が深刻です。奇跡が起こらない限り、当院でも2月14日以降は枯渇します。
なぜこのようなことになってしまったのか?国の無能、無策、これに尽きます。検査キットが無尽蔵にない限り、無料検査などという無意味なことをすれば、肝心な時に不足するのは当たり前です。万策尽きてから、我々医師には検査なしでも診断する、いわゆる「みなし陽性」を認める、と言い始めました。
総理は正々堂々と説明を
どうしてもモデルナワクチンを接種させたいのなら、実際に使用する接種量のデータを示して説明をすべきです。みなし陽性を認めるのであれば、検査キットの不足を引き起こしたことを謝罪し、検査ができない以上、より厳格な対応が求められる2類感染症から外すべきです。知事や現場の医師に丸投げなどもってのほかです。
総理大臣だったら、決して逃げずに、正々堂々と国民に説明してもらいたいです。
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つばさクリニック院長 石川 亨