2022年1月 中間管理職
昨年放映されたドラマ「日本沈没」。北海道と九州の一部を残して日本が沈没、日本人が世界各地に移住する、という恐ろしい話でした。色々と考えさせられる、示唆に富んだドラマだったと思いますが、一番心に残ったのは「祖国を失った日本人が世界で生きていくためには世界で通用する人間でなければならない」ということです。現実の世界では日本列島が消滅することはないと思いますが、国土が狭く、資源も乏しい日本が誇れるものは「勤勉で誠実な日本人」という人間力だけだと思います。
紅白歌合戦
みなさんは紅白歌合戦、ご覧になりましたか?私はほろ酔い加減で観ていましたが、ハッキリ言って史上最低の紅白でした。とにかく歌がひどい。曲はともかくとして歌詞があまりにひどい。やたら英語を使って、たまに混ざる日本語も全く心に響かない。もしかしてAIが作詞しているのでは?と思ってしまいます。あんな歌では女性は口説けません。民族が滅ぶときはまず言語から、と言われます。このままでは日本語と共に日本人が滅んでしまいます。
せめてもの救いは氷川きよし。「歌はわが命」、まさに魂があふれ出るような一世一代の熱唱でした。全出場歌手の中で断トツの出来映えだったと思います。あと、マツケンサンバもよかったですね。(笑)
大阪クリニック放火事件
昨年暮れの大阪クリニック放火事件、衝撃的でした。容疑者が死亡してしまい、動機の解明が不可能となりました。しかし、動機が解明されても何の意味もないと思います。心が病んで事件を起こしてしまう場合、背景とか伏線はあっても動機なんかないのです。心が折れて、冷静な判断能力を失い、衝動的な行動に走ってしまうのではないでしょうか。だから、そこまで人間を追い込んでしまう、そんな社会の病理を追求する事が大切だと思います。
復職プログラム
事件のあったクリニックは復職プログラムということを行っていました。心が病んで仕事に行けなくなってしまった人たちが仕事に復帰できるように、リハビリテーションを行う活動です。中にはこのプログラムのお陰で復職できる人もいるのですが、多くの場合、退職あるいは転職を余儀なくされています。
何故でしょうか?心が病んだ原因が解消されないからです。職場の人間関係、上司のパワハラ等が原因で心が病んでしまうのですが、これらを解消することは極めて困難です。どんな病気もまずは原因を解明してそれを取り除く事が大切なのです。
成果主義の弊害
根本的な原因は行き過ぎた成果主義だと思います。昨今の企業は目先の利益を追求するあまり、短期間で業績を挙げる社員だけが評価されるのです。しかし、企業の売り上げは個人の力だけでは伸びません。直接売り上げには関わらない、縁の下の力持ちの存在が欠かせないのです。仕事がうまく行かなかったとき、上司に叱られたときに話を聞いてあげて慰めてくれる中間管理職です。それが今や絶滅危惧種になってしまいました。彼らは、直接的な成果を産み出さないからです。その結果、心が病んで暴発してしまう人が後を絶たないのです。
つばさクリニックは皆さまに寄り添う、中間管理職でありたいと思います。
本年も宜しくお願い申し上げます。
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つばさクリニック院長 石川 亨