2021年8月 日沈む国、日本
東京五輪開会式、菅総理の貧相な姿がすべてを象徴していましたね。バッハ会長の長話は論外、全てのパフォーマンスが貧弱、そしてなにより一貫性がなかったのが致命傷です。日本が世界の誇るものは何なのか?大会期間中どんな体験をさせてくれるのか?そういうワクワク、ドキドキが全く感じられなかったのが残念でなりません。
開会式にかかった費用は165億円だとか。前回のリオデジャネイロが10億、前々回のロンドンが98億、その前の北京が110億だそうです。リオデジャネイロの10倍以上もお金をかけたのに、100分の1くらいのショボさ。57年前の五輪は戦後の荒廃から立ち直る、まさに「日出る国、日本」を象徴するような大会でしたが、今回は全てにおいて三流に成り下がりつつある、「日沈む国、日本」を象徴しているように思います。
一流でなくても、せめて普通の国に戻るための提言を行います
固定資産税の免除を
1年半あまりにわたる自粛要請のせいで、飲食店を筆頭に、生活困窮に陥っている人が大勢います。時短要請協力金、持続化給付金等の給付の遅れも深刻です。給付されたとしても損失を埋め合わせるには不十分だから、営業せざるを得ないという声も聞かれます。またアルコール飲料の卸業者等、対象外の業種も多々あります。
私は固定資産税の免除、賃貸料の免除をするべきだと思います。固定資産税が免除されれば、賃貸料という収入がなくなっても地主さんは困りません。国は税収が減りますが、種々の補助金を支払うことに比べれば、手間も省けて一石二鳥だと思います。おまけに2020年の国家予算は30兆円ほど余っているのです。30兆円もあれば、固定資産税がゼロになっても痛くも痒くもないはずです。色々な費用を中抜きしている電通やパソナ等は困るでしょうが。
診療報酬制度の革命を
東京は感染者が急増して病床が逼迫し始めています。入院が必要でも入院できず、最悪は自宅で亡くなってしまう、というこの春大阪で起きたことの再燃が危惧されています。一部マスコミや似非コメンテータ―は「民間病院が協力しない」、「医師会が悪い」などとほざいていますが、実情を何も知らないくせにいい加減なことを言わないでもらいたいです。
根本的な問題は、常時ほぼ満床にしていないと病院経営が成り立たない、という今の診療報酬制度にあります。コロナ患者を受け入れろ、あるいはコロナから回復した患者を受け入れろ、と言われても、そもそも空いた病床がないのです。無理やり開けろと言われたら現在入院している患者さんに退院してもらわなければなりません。自宅に帰るか、施設に入所するかですが、施設だって空床はありません。自宅に帰れる人はごくわずかでしょう。
解決策は一つ。現在のほぼ満床でないと経営が成り立たない、というのではなく、約7割の利用率でも経営が成り立つ制度に変えることです。逆に医師や看護師は今回のパンデミックの状態でも普通に診療できるだけの人員を確保することです。平時の体制で有事に備えるのではなく、有事の体制で平時も運営するのです。平時は週休3日、給料は現在のままとし、有事は週休1日、という体制にするのです。もちろん、医師や看護師の総数は現在の1.2倍以上は必要となるので、その分診療報酬は平時から手厚くしなければなりません。
「国民の命と健康を守る」と念仏を唱えるだけでは何の解決にもなりません。
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つばさクリニック院長 石川 亨