2021年2月 コロナワクチン
コロナワクチンの接種の準備が進められています。mRNAワクチンという、今までにないタイプのワクチンです。とても優秀なワクチンで、効果もそれなりに期待できると思います。副反応はインフルエンザワクチンよりも頻度が高いようで、アナフィラキシーショックは約10倍ほどの頻度だということです。
最大の懸念は実績不足
今まで発表されているデータを見る限り、それほど恐れる必要はありません。ただ、いかんせん実績がないのです。本来、ワクチンというのは少なくとも3年間くらいは治験を行ったうえで実用化するものですが、今回のワクチンは半年余りの治験で世に出てきました。野球で言うなら、インフルエンザワクチンは10年以上活躍しているスター選手、コロナワクチンは入団間もないルーキー選手のようなものです。未知な部分が多い、ということです。
ワクチンは接種するべきか、やめるべきか?
私も迷いましたが、結局接種することにしました。先ほど述べたように、未知のワクチンということが一番の懸念材料でした。3年後になって、想定していなかった副反応が出る可能性はゼロではありません。何せまだ誰一人としてワクチン接種後3年経過した人はいませんから。実績がないのです。考えるべきは、コロナで苦しむリスクとワクチンの副反応に苦しむリスクのどちらを避けるか、と言うことです。
アナフィラキシーショック
これは一種のアレルギー反応です。ワクチン本体の成分と溶解液の成分の何かに身体の中で過剰反応が起きてしまい、ショック状態に陥るものです。医師が適切な処置をすれば命にかかわることはありませんが、できれば避けたい副反応です。この点は接種時の医師の問診で十分チェックを行います。
重症化リスク
高齢者、糖尿病や高血圧、呼吸器疾患等の基礎疾患のある人は重症化リスクが高いことが分かっています。喫煙者、肥満の人も同様です。これらの人はワクチンの副反応を恐れず、積極的に接種した方がよいと思います。
社会的リスク
基礎疾患のない非高齢者は判断が分かれるところです。私が接種することにしたのは、いわゆる社会的リスクが高いと判断したからです。私自身が感染すると、少なくとも10日間は休診しなければなりません。その間患者さんにもうちのスタッフにも多大な迷惑をかけることになります。もしかしたら風評被害にも遭うかもしれません。もちろん、「ゴー!つばさ」の愛読者にはそんな心配はしてませんが(笑)。
いずれにしても、感染したら社会に多大な影響を及ぼす、という立場の人はなるべく接種した方が良いと思います。
ワクチンは救世主にあらず
今回のワクチンは優秀なワクチンだと述べました。感染する可能性も下げるし、重症化リスクも軽減するとのことです。しかし、ワクチンを接種したらどんちゃん騒ぎをしてもいいというものではありません。ワクチンを接種したのに感染した、重症化したという例は必ず発生すると思います。今しばらくは大人しく、穏便に生きていきましょう。
つばさクリニック院長 石川 亨
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