2020年9月 竹槍と人力車
4~6月期の実質GDPが、年率にして前期比マイナス27.8%の大幅減とのことです。マイナス幅はイギリスが59.8%、EUが40.3%、ドイツが34.7%、アメリカが32.9%です。メディアは「日本が一番マイナス幅が小さい」と強調していましたが、韓国のマイナス12.7%、台湾のマイナス8.8%、中国に至ってはプラスの55%!に関しては、全く報道されていません。
ファクターX
日本をはじめ、東アジア諸国は10万人当たりのコロナによる死亡者数が欧米諸国に比べると格段と低いのです。この原因はいまだに解明されていませんが、人種、気候、環境等の様々な要因がかかわっているのだろうということでファクターXとされています。
このようなファクターXという有利さがありながら、GDPは韓国の2倍以上のマイナス幅なのです。日本政府の無策さ、無能さの表れです。
天下の愚策GoToキャンペーン
感染拡大の最中に旅行を奨励する、という支離滅裂の施策です。沖縄で流行っているウィルスは東京由来と言うことが立証されています。菅官房長官は「このキャンペーンを実施しなかったら観光業はもっと悲惨なことになっていた」と強弁していましたが、その昔、効きもしない抗がん剤を使った医師が「この薬を使わなかったらもっと悪くなっていた」と言っていたことを思い出しました。
観光立国
なぜこんな愚策を行ったのか?利権の問題、政治献金等、色々な事情はあるでしょう。でも根本的には今後の日本の有望産業は観光業しかなかった、ということです。自動車産業は健闘していますが、電気自動車が主流となると苦戦が予想されますし、他の産業は軒並みお先真っ暗です。その結果、観光に頼るしかない、ということで観光立国なる施策を掲げたのです。
人力車
アベノミクスなんて幻想です。円安にして日本という国をたたき売りしただけです。外国人が日本に旅行に来る一番の理由は「安い」からです。人件費がべらぼうに安いから物価も安いのです。「爆買い」ができるのもそのためです。
この写真をご覧ください。東京浅草を走る人力車です。日本人の庶民の憩いの場を押し寄せる海外観光客のために無造作に開放し、彼らをおもてなしするために日本人が苦役を強いられる、その象徴です。かつて、日本は最新鋭の戦闘機B29を誇るアメリカに、竹槍で闘いを挑もうとしていました。そして今、世界の経済戦争の場においては人力車に頼るしかないのです。
今度こそ地方創生
コロナ禍で分かったこと、それは無駄な出張、無駄な出勤がいかに多いか、ということ。電話、メール、オンライン会議があれば会社に行く必要も、出張する必要も激減するでしょう。東京では片道2時間もかけて通勤して、夜は接待やお付き合いに勤しみ、家に帰るのは最終電車、というのが当たり前でした。土日出勤もあって、自宅は住居というよりはねぐら。その昔、「まだ寝てる 帰って来たら もう寝てる」なんて川柳が評判になりました。
テレワークが普及すれば都会に住む必要もなくなります。地方に住んで、子供と一緒に自然と親む、そんな生活に戻りましょう。地方創生を実現してくれる総理大臣の誕生を望みます。
つばさクリニック院長 石川 亨
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