ゴー!医見

つばさクリニックでは毎月院内広報誌「ゴー!つばさ」内の院長のエッセイです

「腸内細菌の逆襲(著者和田証)」という本を読みました。今までの常識が覆るような、数々の事実を知ることができたので、紹介します。

腸内細菌は100兆個

我々の身体の中の細胞数は約60兆個と言われています。一方、我々の腸の中に棲んでいる腸内細菌は100兆個と言われていますが、その種類は個人差が大きく、まさに千差万別です。これら100兆個の腸内細菌がチームとなって色々な働きをしています。腸内細菌が優秀だと健康的な便が出来上がることはよく知られていますが、最近の研究では免疫にも大きく関わっていることが分かってきました。

リッキーガット

小腸の粘膜は食べ物を吸収し、有害な物質は吸収しないようになっています。しかし、何らかの原因で腸内細菌のバランスが崩れると、小腸の粘膜に綻びができて、有害な物質が血液の中に侵入し易くなってしまいます。この状態をリッキーガットと言います。こうなるとウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなってしまいます。

SIBO

SIBOなんて言葉、初めて聞きましたよね。私もこの本を読むまで知りませんでした。Small Intestinal Biochemical Overgowthの頭文字から名付けられたもので、小腸内で腸内細菌が異常に増殖してしまう状態のことです。ご存知のように腸内細菌にはいわゆる善玉と悪玉があるのですが、悪玉菌が増えすぎると色々と不具合が生じます。

胃カメラや大腸内視鏡検査をしても異常は見つからないけどお腹の調子が悪い、と言う人が結構みえます。過敏性腸症候群という病名がつけられたり、ストレスの影響、気のせい、とか言われてしまうことも多々あります。実は、これらのほとんどはSIBOの状態、つまり腸内細菌の異常増殖が原因、ということです。やたら下痢をする、お腹が張る、便秘、陰部が痛むという症状が主な症状がある場合はSIBOを疑う必要があります。

SIBOの治療

SIBOの治療には薬物療法、食事療法があります。薬物療法としてはある種の抗生物質の他に、糖尿病治療薬、高コレステロール血症の薬が使われます。これらは、ともにある種の善玉菌を劇的に増やす効果や、ある種の悪玉菌を減らす効果もあるのです。そのことで腸内細菌のバランスが良くなってSIBOの時に見られる症状が改善されるのです。

念のために書きますが、腸内細菌の善玉菌、悪玉菌とコレステロールの善玉、悪玉は全く別物です。ヨーグルトや納豆等に含まれる善玉菌を摂取しても善玉コレステロールは増えません。

食事療法

要するに腸内細菌を整える食物を摂ると言うことになりますが、これまでの常識と違うのは腸に良い食物は人によって異なる、という点です。納豆を食べると調子が悪くなる人がいます。ヨーグルトを食べるとお腹が張る、という人がいます。こういう人は無理にそれらを食べてはいけません。人によって腸内細菌の構成は異なっているので、十分足りている善玉菌を余分に摂るとかえって調子が悪くなってしまうのです。

お勧めはブロッコリーです。生で食べても少し茹でて食べてもおいしいですよね。ニンニクもいいのですが、食べた後のあの独特の口臭が玉に瑕ですね。

腸内細菌が活躍すれば、免疫力もアップ!コロナウィルスにも強くなる事請け合いです。


つばさクリニック院長 石川 亨


「ゴー!医見:2020年7月 腸内細菌、恐るべし」をダウンロードする


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