2020年7月 進まぬ復興、進む野生化
緊急事態宣言が解除されたといっても、直ぐに以前の様な社会には戻れないでしょう。仕事も元通りになる様な気配は全く無く、仕事の連絡を待っていても梨の礫なので、除草等を念入りにしています。それに花の手入れも念入りにしているので、以前、台風でポッキリ折れた思い出のブルーベリーも復活し、葉っぱが青々と生い茂っています。プランターからこぼれたビオラの種が発芽して地面にもビオラが群生し綺麗に花が咲いています。他にも、赤と白のバラ、ピンクのミニチュアローズ、松葉牡丹が咲いています。驚いたのが白いユリ。伸びに伸びて1m50cmくらいにまで育ったのです。球根を貰って埋めておいただけですが、こんなに大きく伸びるものだとは知りませんでした。
ところが、6月始めから、花が枯れ始めたのです。何故?と思っていたら日々、枯れる範囲が広がって行く。小さいアリが居るには居るけど、すっかり集っている訳ではない。まさかナメクジか、と思い夜、懐中電灯で照らしてみたら言葉を失ってしまいました。本当に足の踏み場も無い程、ナメクジが異常発生しているんですよね。ここは一応、大槌町の中心市街地、何故こんなに大量発生しているのか不思議でなりません。その日から私とナメクジの闘いが始まりました。ピンセットで捕獲しまくったのですが、数が凄くて獲っても獲っても際限なく湧き出してくるような錯覚に陥る程、凄かったです。
それでも何とかナメクジが駆除できたのですが、花の枯れは止まりません。おかしいと思いながら早朝に花を見ていたら、何かが動いていました。よく見たら黒いカタツムリみたいなのが居るんですよ。軟体部分が黒褐色で、体長5mm程のそいつの正体はコハクガイだと思います。コハクガイは外来種だったような覚えがあるけど、こんな田舎にまで居るとは驚きです。何はともあれ気付いた以上は駆除開始、ナメクジと同じく、大槌に居る時は取り続けたのですが、ほぼ毎日100匹以上捕獲しました。
という様な私の闘いを観ていた御近所さん達から提案がありまして、私に害虫駆除を依頼したいとの事。流石に相場並みの料金は頂けませんので、お手頃価格にて引き受ける事にしました。私と同じくナメクジとコハクガイだけの駆除だと思っていたら、不快害虫の駆除もとの事で蜘蛛、ムカデ、ダンゴムシ、ゲジ、カメムシの他、アシナガバチ、スズメバチの巣の撤去にアリの巣駆除等々。皆さん、とにかく虫が嫌い、家の中に入ってくるのが嫌との事でした。
そもそも震災後の都市計画が杜撰で、あまりにも復興事業の進捗が遅くて、住民は自宅の再建ができなかったのです。そのため中心市街地は空き地の方が多く、半ば放棄地状態。当然、雑草は生い茂るのですが、地権者は大槌には居ないし、誰も草刈り等、環境整備をしない。新しく建てた駅舎と駅舎に続く歩行者専用道路も雑草が生い茂る有り様。出来た時にはメディアを呼んで取材をしてもらって復興を叫んでいたくせに、後は放置ですよ。鹿の群れも居れば、タヌキにキツネも居るし、先日からは熊まで出没しています。だからこそ、コロナの感染者が確認されないのかとも最近は思っております。
色々ありますが何とか今月も凌げましたので頑張ります。
岩手県大槌町 小川 孝幸
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