2019年9月 ACP(人生会議)
ACPと言う言葉、ご存知ですか?Advance Care Planning(アドバンス・ケア・プラニング)の頭文字をとったもので、最期をどのように迎えるか、を考えることを言います。厚労省はこれを人生会議と名付けました。
最高の人生の見つけ方
2007年のアメリカ映画です。実直な自動車整備工と豪放な実業家が癌で入院した病室で出会い、ともに余命半年を宣告されます。二人は「棺桶に入るまでにやっておきたいこと」を書き出したリストを作り、それを実現させるために人生最後の旅に出る、というものです。豪放な実業家だけあって、とてつもないスケールが大きい遊びをするのです。我々庶民にはそんなことは到底無理ですが、ささやかな幸せや夢を実現させることはできると思います。
もしばなゲーム
「もし余命6か月と宣告されたら」どんなことを大切にしたいか?ということを話し合うゲームです。数人のグループで行うもので、「痛みを和らげて欲しい」「心を許せる看護師がいる」「財産の整理をする」などと書かれた35枚のカードの中から5枚を選ぶのです。そして、選んだ理由を発表する、というものです。私も何度か参加したり、見学したことがあります。老人ホームの家族会で行われた時は、初対面の人同士でもすぐに打ち解けて、時には真剣に、時には和気あいあいと本音を打ち明けることができ、とても有意義なゲームだと思いました。
人生会議
私の娘は結婚して約3年になりますが、「自分が余命6か月と宣告されたらとにかく好きなものを食べる」と婿殿に宣言した、と言っていました。まだ20代で、健康そのものなので、切羽詰まった感じは全くありませんが、これも大事なことだと思います。
たとえば、「富士山に登ろう」と思っても、余命6か月では体力的に不可能かもしれません。だったら、病気になる前の元気なうちに行こう、ということになります。でも、今はお金も時間もないから、もう少し余裕ができてからにしよう、ということになるかもしれません。ところが、余裕ができたと思ったら、体力が落ちてしまって飛行機に乗るのは困難になっているかもしれません。「高級ホテルのディナーを食べよう」と思っても、入れ歯になっていたら折角の料理も台無しです。「有名アーチストのコンサートに行こう」と思っても、補聴器を使っているようだと楽しみも半減してしまいます。
余命宣告を受けた時点では夢が実現不可能になっていることは多々あります。余命宣告を受けていなくても、体力や経済力の問題で実現不可能になってしまうこともあり得ます。そういう意味では、自分は健康で、まだまだ数10年は生きられる、と思っている時期から人生の計画を立てることは非常に有意義なことだと思います。
今よりも元気になることは難しいかもしれませんが、今の状態を保つことは可能です。夢をかなえる第一歩は健康維持です。いつまでも美味しいものが食べられ、綺麗な景色を見て、美しい音楽が聴ける、これが一番の幸せです。
人生会議の第一歩、それはつばさクリニックへの通院を続けることです。(笑)
つばさクリニック院長 石川 亨
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