2018年6月 さようなら、ヒデキ
5月16日、西城秀樹さんが亡くなりました。63歳、私より 4つ年上、兄と同じ年ということもあり、ほぼ同年代、というのが実感です。「情熱の嵐」、「激しい恋」、「傷だらけのローラ」、「ヤングマン」、「ブルースカイブルー」等々。どれも私の青春真っ只中の歌ばかりです。それだけにこれまでの有名人の死とはちょっと違う寂しさを覚えます。
サウナは要注意
彼は48歳と56歳の時に脳梗塞になっています。48 歳の時は水を飲まないままサウナに入ったことが原因とされています。彼はサウナで汗を出し切った後のビールやラーメンを何よりの楽しみにしていたのだそうです。
巷では「健康のために」サウナに通っている人が結構いるみたいですが、要注意です。一番怖いのは、思いっきり脱水状態になって血液が濃縮されてしまうこと。こうなると血管が詰まりやすくなるのです。そんな状態で水風呂に入ったら最悪。今度は血管が一気に縮んでしまい、ますます血管が詰まりやすくなるのです。心臓の血管が詰まれば心筋梗塞、脳の血管が詰まれば脳梗塞です。長嶋茂雄さんもサウナで脳梗塞になりました。彼は心房細動という病気を持っていたので、もともと血管が詰まりやすかったのは事実ですが、サウナがダメ押しになったのは間違いありません。
アルコールも要注意
サウナに限らず、汗をかいた後に飲むビール、最高ですよね。私も大好きです。でも、これも要注意です。アルコールは身体の水分を奪うので、アルコールを飲んだだけで脱水傾向になるのです。サウナに入って酒を抜く、なんて人がいますが、その前に血液の中の水分が抜けてしまって血管が詰まってしまいます。
サウナの正しい入り方
サウナを使って心不全等の治療をする、和音療法というものがあります。医師の指導の下に行う、学会でも認められた治療方法ですが、一般のサウナとの一番の違いは室温。和音療法では室温は60度に設定されているのですが、一般のサウナの室温は80~100度なのです。安全にサウナを楽しむには、まずは低温サウナを探すこと。どうしても通常のサウナに入りたい人は、3分以内にして下さい。辛くなったら我慢せずにすぐに出ること。「あの人よりも先には出ない!」、なんて考えないで下さい。変な所で負けじ魂を出してはいけません。もちろん、水風呂にも入らないでください。そして、風呂上りにはまずは水を飲むこと。最低紙コップ1杯は飲んで下さい。その後、ゆっくり食事をしながらビールを飲む、これなら大丈夫だと思います。
リハビリ中毒
秀樹さんは懸命にリハビリを続けていたとのことです。「もう一度ステージに立ちたい!」という思いが強かったとのこと。目標を持つのは素晴らしいのですが、脳梗塞の後遺症による麻痺は、どう頑張っても回復しないことがほとんどです。頑張り過ぎは禁物です。
イケメンでスタイル抜群、ダイナミックな歌と踊り。最後まで格好よかった昭和の大スター、ヒデキ。安らかに眠ってください。
つばさクリニック院長 石川 亨
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