2025年12月 昨日の敵は今日の友
とてつもない奇縁がありました。ある日、友達漁師のSさんから電話がありました。「昨日から岸壁のとこで小川さんの事を探しているような外国人がいるんだ。今日も来ている」と言うんです。心当たりがないままに、Sさんと一緒に岸壁に行ったら3人の外国人がいました。
国際NGO環境保護団体
恐る恐る近付いて行ったら、私たちに、iPadを出して、こっちと端末を見比べている様子。更に近付いて行ったら「エクスキューズ」とか言って話し掛けてきました。困惑の表情を浮かべていたら、その端末の画面に映っていたのは、まごうことなき私でした。さらに見せてくれたのは、震災直後で瓦礫だらけの大槌の市街、避難所だった大槌中央公民館と大槌高校。この時点でやっと思い出した次第。「あー!あの時の外人さん!」。国際NGO環境保護団体の人で震災時、わざわざ大槌まで来て、「イルカを獲るな!イルカ漁をやめろ!」と岸壁で騒いでいた人達です(笑)。その外人さん、私が思い出した様子なのを見て、早口で英語で捲し立ててキツくハグをするのです。「オッサンにギューッとされても嬉しくない、放せ!」でした(笑)。
強力な助っ人
一応、話を聞かないと分からないので、「ワン・モーメント・プリーズ」と言って、急ぎダッシュで家に行き、通訳(嫁のエバ)を連れて来ようと、車に乗って走り出したら外人さんも車に飛び乗って付いてきて、結局、家まで付いて来られてしまいました。そして玄関から嫁を呼んで話が始まったのですが、この通訳さん、自分が話をして私に訳さないんですよ。私が「何て言ってんの?」と聞くのに「ちょっと待ってて」と言われて私は話に入れない。ようやく、「環境保護団体の活動をしている最中にあの巨大地震が発生し、逃げようにも逃げられなかった。その時、『イルカを殺すな!』と我々が批難してきた相手の漁師が、『こっちに来い』と高台に連れて行ってくれた。我々はイルカを獲る日本人を批難していたから、殺されるんじゃないかと思って怖かった。でも震災翌々日になり、小川さんが現れて避難所に連れて行ってくれた。それまでは殆ど何も食べていなかったが、避難所に着いたらパンとおにぎりと味噌スープを出してくれて、とても嬉しかったし、美味しかった。そして次の避難所の大槌高校に連れて行ってくれて毛布もくれて数日間暖かい食事もくれた。そして最後に釜石駅まで送ってくれた」と言っていることがわかりました。言われてみれば確かにそんな事もありました(笑)。
日本人の優しさ
「あの時は本当にありがとうと言っていた」と嫁が言っておりました。本当に奇縁と申しますかミラクルでした。「イルカを殺す日本人は野蛮だと思っていたから、優しくしてもらって嬉しかったし、日本人に対するイメージが変わった」と言う言葉が素直に嬉しかったですね。
岩手県大槌町 小川 孝幸
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