2024年9月 見参!スーパー運転手
観光バスの仕事で「○○会社研修会」というお客さんを案内しました。立ち寄り先は震災関連施設、震災遺構等々となっていました。驚いたことに駅の改札口から出て来たお客さんは若人ばかりでした。添乗員のYさんによれば新入社員の研修で東日本大震災の被災地で話を聞き、防災、減災の意識を高めるのが目的なのだとか。
事件現場は大槌町
初日は陸前高田市の東日本大震災津波伝承館、次に釜石市の伝承館、そして大槌町の某岸壁にて津波で犠牲になった人への献花。この献花中に事件が起きました。待っている間、タイヤの空気圧等を点検していたら「あぁ!」という叫び声が!何事か?と振り返ったらお客さんの女性が岸壁からバッグを海に落としてしまった。見るとプカプカと浮いていて少しずつ岸壁から離れて行ってる。その女性は「添乗員さん!添乗員さん!」と言っておりましたがYさんは私の方をチラチラ見るだけ。周囲を見ても長い持ち手のタモなんか無い。でも岸壁の端の方にはステンレス製の梯子が海にぶら下げてあったんですよ。それを見てサッとYさんの横に駆け寄り「あの梯子から上がれるから飛び込んで取るしかないですよ」とアドバイスしたら「無理ですよ」と。お客さんの男性陣に目をやると皆、首や手を左右に振って無理無理アピールをしていました。女性は泣きそうになっていたんですよね。
ヒーロー登場!
ここまで書くと私の行動パターンを読めると思いますが、そうです、飛び込みました(笑)。皆の前でパンツ一丁にはなれないのでワイシャツだけ脱ぎ、靴を岸壁の上に揃えて、海面まで約2mちょい、カッコよく頭から飛び込めないので普通にジャンプして足から着水でしたが泳いで取ってきました!飛び込んだ瞬間は皆さんビックリしてましたけど泳いでいたら「頑張れっ!」との声援を頂きました。でも、正直恥ずかしかったので静かに見守っていて欲しかったです(笑)。岸壁にある梯子を登って岸壁上に上がったら、皆さん「運転手さん大丈夫ですか?凄い、凄い」!と褒めてくれたのですが、私は手足がガクガク、プルプルで体力の衰えを痛感していた次第。着衣水泳はマジで疲れるんですよ。バッグの持ち主の女性も「ありがとうございます!スマホも壊れてませんでした!」とかエキサイトしていましたが、私は「壊れてなくて良かったね」と言うのが精一杯でした。
Yさんとお客さん達の御厚意で一緒に夕食を摂る事になり、話題は海に飛び込んだ事に。「何であんな事できるんですか?怖くないんですか?」色々聞かれましたが、Yさんが「今まで色んなバス会社のバスに添乗してきましたがこんなワイルドな運転手さんは見た事がありません」等、色々と言ってくれたのは嬉しかったです。
スーパー運転手
翌日、旅の終わりの盛岡駅では、皆さん降りて行く時に励ましの言葉をくれるので本当に嬉しかったし、男性陣の1人が「運転手さんの様に困っている人が居たら直ぐ助けられる様に頑張ります」とか言うので面映ゆく思いつつも「無理はダメよ」と返したら「鍛えます」とか言っているのが微笑ましかった。若いっていいですね(笑)
帰社して事務所に入って行ったら社長が開口一番「小川くん!昨日、海に飛び込んだって?」と言ってきたのでビックリ!何で知ってんの?と思ったら「さっきYさんから電話来てさ、小川くんが何かやらかしてクレームか?と思ったら、その話でさ、いい事したな、おいっ!(笑)御社には凄い運転手が居るんですねとか言ってたぞ(笑)」と言われて何やら恥ずかしかったですが、まあ、楽しくできた仕事でした。
岩手県大槌町 小川 孝幸
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