遥かなる復興への道 from 岩手県大槌町

通り一遍のマスコミ報道では分からない、被災地の生の姿を復興への熱い思いを込めて伝えます

被災地では今、ある大問題だと感じている事があります。それはペットの処分や譲渡等に関する事です。震災後、仮設住宅で独り暮らしの御高齢の方々が周りの勧めで犬や猫を飼うようになったことが多かったのですが、それが今、捨てられたり、処分されたりしているのです。動物好きの私としてはとても悲しいことです。

引き取ってくれる方を探すのですが、これが難しいのです。友人知人にと思っても中々、引き受けてはもらえず、捨てペット、野良ペットを保護するNPO団体も全てに対応できないといいます。

以前、見学に行った動物保護団体でも限界を越えた多頭飼いになっていて、衛生状態などは決して良いとは言えません。譲渡先を探して欲しいと相談に行っても簡単には見付からないし、衛生状態等を考えると保護とは言葉だけで逆に虐待に近いものがある様な気もしないでもありません。

何故、こういう事になっているかと申せば、飼い始めから高齢者だった飼い主が、震災から10年が経ち更に高齢になってしまい、体調を崩したりして入退院を繰り返す様になってペットの面倒をみれなくなったという事と、もし自分が死んだらペットの面倒をみてくれる人が居ないからという理由が多いのです。震災後、独り暮らしの寂しさを癒してくれたペットを処分したり、譲渡するのは断腸の思いだとは思いますが、現実的な問題として自分が死んだ後の事を考えると、そうせざるを得ないのかもしれません。

とても悲しい話だと思います。自分が先に最期を迎えるかもしれないとなると色々と考え過ぎる程に考えてしまいますよね?ペットは家族だし自分の子や孫同然に可愛がっていたのですから。殆どのペットは震災直後に飼われだしている為、震災から10年過ぎてペットも高齢化してしまっているので、中々引き取り手が見付からないのです。

私達が入居している災害公営住宅で独り暮らしをしていた90代の男性が昨年、孤独死をしてしまいましたが、猫を飼っていたんですよね。その猫は男性が亡くなる前に外に出されたのか、今も時々見掛けます。大体はその男性の家の玄関ドアの前に座っていますが、何とも悲しいです。この猫だけは御近所さんも可哀想と思うのか、餌をあげており、私もあげてますが、懐いている様でも余り懐いていないと申しますか、餌を食べ終えると玄関に戻っていく姿を見ると本当に切ない気持ちになってしまいます。二度と飼い主さんが開けてくれる事のないドア・・・。本当に悲しいです。犬も猫も自分を可愛がってくれた飼い主さんが凄く大好きなんですよね。

殆どの災害公営住宅ではペットを飼う事は不可なので、こっそり飼っている御高齢の方も多いです。ペットと一緒に入居できる災害公営住宅もありますが、数は少ないです。でも仮設住宅で飼っていたペットを災害公営住宅に入居する際に処分する事など出来る訳がないじゃありませんか。もっと柔軟に対応して欲しいんですけどね。だから、こっそりペットを飼っている御高齢の方々は社協の職員が巡回に来た時など何を言われようと職員を絶対に中に入れないんですよ。そういう方が近所にも居りますし(笑)

震災は色々な意味で人間だけではなく動物達にとっても大きな受難となり、野良になろうが必死に生きて、子を産み、命を繋いでいる訳ですし、優しく接したいものです。余裕があり、状況が許すのであれば私も保護活動等もしてみたいとも思いますが、今は本当に無理なんですよね。

岩手県大槌町 小川 孝幸


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