2019年11月 カノンと飛騨千光寺へ
森の木々が色づき初めた10月30日、カノン、院長と共に飛騨千光寺へ伺いました。
7月に訪れた際に、今回の7年に一度のご開帳大法会の案内をいただきました。
ご住職と副住職さま、そしてご家族みなさんの心の底からにじみ出る温かさに魅せられて是非参加させていただきたいと願っておりました。
飛騨の地は私にとって特別な場所で、山々も言葉も五感に感じる全てが深い安堵をもたらしてくれます。飛騨は私が十代の頃から私を人として、看護師として導き続けてくれた恩師の眠る町であり、かけがえのない友人の眠る町でもあります。
そして今回不思議なご縁でカノンも一緒に同行出来たことはカノン自身の望みだったと思えて仕方がありません。
千光寺様には不躾なカノン供養のお願いをお聞き届けいただき感謝の気持ちでいっぱいです。ご本尊様の頭上には四季折々の木々の姿が楽しめるような円窓がしつらえてあります。焼香のけむりがたおやかに緩やかな弧を描きながら窓に向かってのぼってゆくさまは優雅で美しく、
「ああ、カノンの魂がかえってゆくんだな‥」
と膝の上に骨壺を抱いて見入っておりました。
人はよく「ご心痛ですね」と言った言葉を使います。胸が痛い、胸が苦しい、とも言います。私自身も気の毒な話を伺ったりすると「胸が痛みます」などと使ってきました。カノンが居なくなって、言葉だけではない本当の胸の痛みを知りました。
「カノンが活躍できる場」としてスタートしたアニマルセラピーの、カノンが居ないこれからの意味を自問してみました。
カノンがみなさんにかわいがっていただきながら、笑顔と幸せのリボンをつなぎあわせて創ってきたこの道を、もうしばらくみんなと一緒に歩いて行こうと思います。
みなさま、セラピー犬としての9年間、カノンを可愛がって頂きありがとうございました。
看護師・アニマルセラピスト 石川 薫